大腸がん・大腸ポリ-プ

大腸がんとは

大腸は消化吸収された残りの腸内容物をため、水分を吸収しながら大便にするところです。大腸のはじまりは盲腸です。頭部、つまり上に向かう部分が上行結腸、次いで横たわっている部位を横行結腸、足つまり下に向かう部分が下行結腸、S字状に曲がっている部分がS状結腸、約15cmの真っすぐな部分が直腸で、最後の肛門括約筋のあるところが肛門管です。全体で約1mの長さがあります。
大腸粘膜のあるところではどこからでもがんができますが、日本人ではS状結腸と直腸が大腸がんのできやすい部位です。
直系の親族に同じ病気の人がいると大腸がんにかかりやすいと考えられています。生活習慣では、肥満で結腸がんリスクが高くなることが確実とされています。また、飲酒や加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージなど)は、おそらく確実な大腸がんリスクとされています。
喫煙習慣は、日本人では大腸がんリスクを上昇させる可能性があるといわれています。
定期的に適度な運動をすることには結腸がんの予防効果があるとされています。また、従来「予防効果がある」とされていた野菜については、最近では疑問視されています。一方、果物摂取は大腸がん予防の可能性があるとされています。

ポリープとは

大腸にできる「いぼ」の様な隆起性の病変を大腸ポリープといいます。ポリープとは「蛸(たこ)」や「ハナタケ」を意味します。大腸粘膜からキノコのように飛び出したものをイメージしてください。ポリープという名は、そんな形についた名前で、その中身が、がんか良性の腫瘍かは別問題です。ポリープが消化管の中に100個以上できた場合にポリポージスと呼ばれますが、血縁にポリープやがんの人がいるかどうかが問題になることがあります。当院での大腸ポリープ検査・治療に関しては胃・大腸カメラページをご覧ください。

良性か悪性かの判定

大腸ポリープの約1割はすでにがん化しており、また、がんでなくても将来がん化する危険性が高いものも約1~2割あることがわかっています。「がんらしい」あるいは「近い将来がんになる危険性が高い」ということは、外観(大きさ、形、色調、個数など)から判断できます。そんなポリープは内視鏡検査時に切除します。切り取ったポリープを顕微鏡で検査して良性か悪性かを最終的に診断することになります。

大腸がんはごく一部のケースを除いて、ほとんどが大腸ポリープから発生します。(良性の大腸ポリープの遺伝子にキズが重なり、大腸がんになると考えられています。)

ですから、大腸カメラを受けポリープを切除することががんの予防になりますし、大腸カメラを受けることでがん自体の早期発見につながります。

大腸ポリープの治療

大腸ポリープの治療の基本は内視鏡による切除です。ごくまれに腸に穴があく、出血するなどの合併症はありますが、慎重に行えばまず安全に行えます。
内視鏡治療できちんと取れれば、良性のものはもちろん、悪性であっても粘膜内にとどまっているものであれば治療は完了です。

2㎝前後の大腸ポリープなら日帰りによる内視鏡切除が可能です。内視鏡治療に不安がある場合は、鎮静剤を使用しての治療を行います。

切除したポリープを顕微鏡で調べ、がんが粘膜より深い層に及んでいるときは手術が必要なことがあります。頻度は低いですが、そのようなポリープには大腸のまわりのリンパ節に転移している可能性があるからです。手術を安全にできるかどうかは身体の状態にも関係します。当院での大腸ポリープ検査・治療に関しては胃・大腸カメラページをご覧ください。

大腸がんの治療

主な治療法として内視鏡治療、手術治療、薬物治療があります。治療法は標準治療に基づいて患者さんの状態や病期(ステージ分類)にて検討します。がんが切除できる場合には内視鏡治療や手術治療を行い、切除できない場合には薬物療法を中心とした治療を行います。

当クリニックでは最新の設備で経験豊富な医師が施術いたします。2㎝前後の大腸ポリープや早期がんは日帰りによる内視鏡切除が可能で、それ以上の大きさでも早期大腸がんであれば1週間程度の入院による内視鏡切除が可能なことも少なくありません。

ポリープをとった後の注意

顕微鏡検査で腫瘍性のポリープだった場合には、そのポリープとは別の場所にあらたにポリープやがんができる危険性が多少ありますので、定期的に内視鏡検査を受けるようにしてください。検査の間隔は症例によって異なりますので、主治医の先生の指示に従ってください。
最近、ポリープ状でない表面型早期がんが多く見つかるようになりました。定期的な検査でポリープと表面型早期がんを見つけてもらいましょう。

日常における注意

便秘や血便の人は早めに大腸の検査を受けてください。症状のない人も、定期的に便潜血検査を受けるようにしましょう。予防は、食事の脂肪分を控えること、繊維分をよくとり便通を整えることです。当院の大腸カメラ検査に関しては胃・大腸カメラページをご覧ください。

前の記事

虫垂炎・盲腸(急性虫垂炎)

次の記事

過敏性腸症候群