クローン病

クローン病とは

大腸に炎症をおこす病気には大きく2種類あり、原因がはっきり分かっているものとそうでないものがあります。原因が判明している腸炎は、例えば、食中毒では特定の細菌が原因となることが多くあります。また抗生剤などの薬剤が原因で腸内細菌のバランスが乱れてしまい結果的に、腸炎をおこすこともあります。

クローン病ではその原因がわかっておらず、非特異性腸炎の一種として分類できます。細菌では、その原因も少しずつ判明してきており、免疫反応が過剰に働いてしまうことが原因で、腸の壁に炎症を起こしてしまうことが考えられています。現在皆さんが用いられている薬剤の多くは、この過剰に働いてしまう免疫反応を正常に戻す作用や炎症を抑えることにより症状が改善されます。

潰瘍性大腸炎とは違い大腸だけでなく、小腸にも炎症をおこすのが特徴的です。炎症をおこす範囲によって小腸型、小腸大腸型、大腸型と区別できます。また、食道や胃にも病変体を造り出すこともあります。

クローン病の症状

代表的な症状

クローン病の症状としてまず挙げられるのは腹痛の時です。特に病気の好発部位である盲腸部や回腸末端に一致した右下腹部の痛みを感じることが多いです。この段階では虫垂炎と区別することが難しく、中耳炎の手術をしたらクローン病だったということもしばしばあります。その他の症状として挙げられるのは、下痢、食欲不振、全身倦怠感、体重減少などの症状を感じることがあります。

その他の症状

お尻が痛い、肛門の周囲から膿がでているなどの症状がある場合はクローン病による肛門病変合併の可能性が十分に考えられます。肛門に病変体を形成し、痔瘻、肛門周囲膿瘍などが病変の特徴となります。また、潰瘍性大腸炎に特徴的な粘血便については、肛門から近い直腸やS状結腸に炎症がある際などには血便になることも多いですが、全くない方もいらっしゃいます。

こんな症状も考えられます

またクローン病では腸管の管が狭くなってしまう狭窄を認めることもあります。また、おなかが張る、吐気、嘔吐、激しい痛みなどを感じる腸閉塞症状を認める場合も考えられます。お腹の中に膿のかたまりである膿瘍や腸と腸がくっついてしまう瘻孔を形成するとことで、腹痛や発熱が起こり、入院をやむなくすることもあります。

クローン病になる原因とは

潰瘍性大腸炎と同じように複数の原因が関係していると考えられていますが、現段階では不明な点が多くあります。何かしらの遺伝的な原因に食事や腸内細菌などの環境による悪影響が加わることで、免疫反応が過剰に起こり炎症などにつながると考えられています。少し前まではウイルスなどの感染症が原因だと考えられておりましたが、近年では違った考察が有力です。
結論を言ってしまうと、先ほども述べたように、明確な原因がわかっていません。その為、これといった対策がなく、症例が判明すれば治療を行う流れが通常です。

クローン病の治療方法とは?

クローン病の治療法といっても患者様の症状は人によって異なるため、適切な治療法を医師が判断します。治療方法は、薬物療法、栄養療法や食事療法、血球成分吸着除去療法、寛解維持療法などがあります。また、外科治療が必要となるケースもあり、腸管の狭窄やがん化の可能性がある場合などです。医師と治療指針を決め、生活スタイルに合わせて治療をしていくことが大切です

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