胃がん

胃がんとは

胃がんは、胃の壁の内側をおおう粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞となり、無秩序に増えていくことにより発生します。がんが大きくなるにしたがい、徐々に粘膜下層、固有筋層、漿膜へと外側に深く進んでいきます。

以前と比べてがん検診を受ける人が増え、胃がんの原因となるピロリ菌の検査・除菌治療を受ける人も増加してきたことなどから、胃がんの死亡数は減少傾向にあります。

胃癌は早期で発見されれば治癒率は極めて高く、ほとんどの施設で5年生存率が90%を超えています。一方、進行癌になると、5年生存率は50%にも満たなくなり、中でも、リンパ節転移や肝臓転移などがあり、手術でも完全に取りきることができない第IV期癌では、5年生存率は10%以下とされています。胃癌を完全に治すには、早期癌のうちに発見することがまず重要です。

胃がんは、早期の段階では自覚症状がほとんどなく、かなり進行しても症状がない場合もあります。

代表的な症状は、胃の痛み・不快感・違和感、胸やけ、吐き気、食欲不振などです。また、がんから出血することによって、貧血が起こることや、黒い便(血便)が出ることもあります。しかし、これらは胃がんだけではなく、胃炎や胃潰瘍いかいようでも起こる症状です。そのため、胃炎や胃潰瘍などで内視鏡検査を受けたときに、偶然がんが見つかることもあります。

内視鏡検査

胃がんの診断はX線検査と内視鏡検査によりなされます。バリウムと発泡剤による空気で胃の壁を映し出す方法は二重造影法と呼ばれ、日本で開発されたものです。検診に広く用いられており、日本において早期胃がんの割合が多く、治療成績が他の国々よりも良好であるのはこの二重造影法による検診の普及によるものです。


胃がん検診は以前バリウム検査が主流でしたが、内視鏡機器の発達により、楽に検査が受けられるようになり、画像も鮮明で、診断能も向上しています。内視鏡で病変の有無を観察し、必要なら苦痛なく組織検査を行います。胃内視鏡検査はつらくて大変だという方もおられますが鼻からの内視鏡や画質が向上した最新の細径内視鏡を使用しておりますので点滴薬で眠る必要はありません。また、ご希望であれば保険適応で鎮静剤のご用意がありますので遠慮なくご相談ください。


さらに、胃周囲のリンパ節や遠い臓器への転移の診断をするのに腹部超音波検査、CT検査、MRI検査なども行われます。

治療

胃がんの治療には内視鏡治療、外科治療、抗がん剤治療などがあります。

内視鏡治療

治療の基本はがん病巣を完全に取り除くことですが、ごく小さな癌で、明らかにリンパ節転移がないと判断されるような場合は内視鏡的に切除することが可能です。切除前には病巣の範囲、深さ、組織型の見極めや画像診断で転移がないことなどの確認が必要です。切除した検体の組織検査で追加外科切除が必要になることもあります。通常治療には5-7日間の入院が必要です。当院からは大学病院など適切な施設を紹介いたします。

外科治療

内視鏡治療の適応がなく、切除可能な病状について外科治療が行われています。以前は開腹手術がほとんどでしたが現在は適応を決めて腹腔鏡手術やロボット補助手術が行われており、傷が小さく体への侵襲が少ない外科治療が行われております。

抗がん剤治療

おもに切除不能、再発胃がんの治療として延命を目的に行われる場合と、手術後に再発予防目的で行われる場合があります。

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